琉球識名院|無量寿山光明寺沖縄別院

沖縄県那覇市首里 / 木造、鉄筋コンクリート造 / 2階建て / 寺院

 世界文化遺産に指定されている「 識名園 」の真向かいで、那覇市真地の歴史有る地域に建立する浄土真宗の仏教寺院です。赤瓦の美しい大屋根を持つ、2階建て木造寺院。大屋根は、最大長さ18mとなり、ダイナミックな本堂の無柱空間を実現。そして、この大きな屋根を支えているのは、樹齢1000年を超えるヒバの大木より切り出した50cmの木柱となります。

樹齢1000年以上の大木丸太と私

 この美しく大きな屋根は、専門家の監修の元、反り(そり、伝統的な曲線)を考慮した繊細な曲線加工が施された大きな梁部材で、このようなダイナミックな構造システムで支えられています。

木造大屋根の骨組み

 敷地内には、3棟の建築物があり、本堂(全て木造2階建て)、山門(全て木造平屋)、そして拝所(鉄筋コンクリート造2階建て)の3棟となります。また、緑豊かな庭園や水盤も建物と一体となって調和の取れた癒やしある空間となっています。

緑豊かな庭園と水盤

 まず本堂は、山門から敷地内に入るとタージ・マハルを思い起こすような水盤に映り込んだ優雅な姿を見せ、ご本尊さまを中心とした赤瓦の大屋根が魅力的です。また、伝統的な寺院の作法を守りながら、現代の技術を取り入れていくことで、より洗練された先進的な空間を実現することが出来ました。

 実際には、2階建てにも関わらず、山門側からは、平屋のように見える工夫が隠されています。圧迫感のある建物にはならないように気を付けながら、大屋根の美しさを際立たせ、全体のプロポーションを整える効果を狙いました。

タージ・マハルのような水盤に映る姿

 山門は、伝統的な木造工法で建てられ、寺院の入口でもあり、顔となります。伝統工法として、2本の円柱の親柱とそれぞれ1本の控え柱で構成し、計4本で支える日本の伝統的な建築様式の一つである四脚門(しきゃくもん、よつあしもん)となります。実際には、計6本となりますが、格式の高い門の形式としても知られています。また、山門越しに見える水盤と本堂とは一直線に繋がり、神聖な気持ちになるような配置計画となっています。

山門

 拝所(室内墓所:琉球御廟)は、柱や梁のような出っぱりのないスッキリとした空間を実現するために構造計算された2階建て鉄筋コンクリート造(RC造)となります。そして、沖縄県内ではほとんど見かけない新しいスタイルの室内墓所を採用。もちろん、沖縄では大切にされている伝統的なシーミーなどの行事も行えるように工夫した施設となります。インテリアは、琉球石灰岩を中心とした仕上がりと和紙職人による和紙でデザインされたモダンな空間となっています。

拝所(室内墓所:琉球御廟)

 これだけ本格的で、大胆な建物を計画するには、多くの時間と多くの専門家の協力なしではできませんした。最後に、今回の設計チームのご紹介をさせて頂きます。

近くにお越しの際は、是非、足を運んでみて下さい。

下記が、本寺院の公式サイトとなります。

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